公開 2026年9月19日 更新 2026年9月19日 監修:眼科専門医(東京都内で白内障手術を執刀する現役眼科医)

乱視がある人の白内障手術|トーリック眼内レンズで乱視は治る?

この記事の要点

乱視には「角膜乱視」と「水晶体乱視」がある

乱視は、目のレンズ系(角膜と水晶体)のカーブが方向によって異なるために、ピントが1点に結ばない状態です。原因が角膜にある「角膜乱視」と、水晶体にある「水晶体乱視」があります。白内障手術では水晶体を取り除いて眼内レンズに置き換えるため、水晶体乱視は手術で自然に消えます。一方、角膜乱視は残るため、術後の裸眼視力を良くするには角膜乱視を打ち消す工夫が必要です。それがトーリック眼内レンズです。

トーリック眼内レンズの仕組み

トーリック眼内レンズは、レンズ自体に乱視を打ち消す度数が組み込まれており、手術中に角膜乱視の方向(軸)に合わせて挿入します。術前に角膜の形状を精密に測定し、レンズの乱視度数と挿入する角度を決めます。手術の手順は通常の白内障手術とほぼ同じで、手術時間もほとんど変わりません。

適応となる乱視の程度

一般に角膜乱視が1D(ジオプター)以上あるとトーリックレンズの効果が期待でき、1.5D以上ならほとんどの施設で勧められます。1D未満の軽い乱視は通常のレンズでも視力に大きな影響がないことが多く、切開の位置を工夫して乱視を減らす方法もあります。適応は術前検査(角膜形状解析)の測定値で判断しますので、眼鏡に乱視が入っている方は術前に「乱視の矯正も希望」と伝えておきましょう。

ただし、円錐角膜のように角膜の形が不規則な「不正乱視」はトーリックレンズでは十分に矯正できないことがあります。この場合はハードコンタクトレンズなど別の矯正方法を検討します。

費用:単焦点トーリックは保険適用

レンズ費用
単焦点トーリック保険適用。通常の単焦点と同じ自己負担(片眼1割約1.5万円〜3割約4.5万円)で選べる施設が多い
多焦点トーリック選定療養(片眼おおよそ25〜40万円の追加)または自由診療

単焦点トーリックが追加費用なしで選べるかどうかは施設によって異なるため、事前に確認してください。多焦点レンズと乱視矯正を組み合わせる場合は、多焦点トーリックが選択肢になります。

トーリックレンズの注意点

乱視のある方の施設選び

トーリックレンズを扱っているか、角膜形状解析の機器があるかは施設の公式サイトで確認できます。「乱視矯正レンズ対応」「トーリック眼内レンズ」の記載があれば対応しています。レンズ全体の選び方は単焦点と多焦点眼内レンズの選び方を、施設選びはクリニックの選び方をご覧ください。

この記事に関するよくある質問

Q. トーリック眼内レンズは保険が使えますか?

単焦点のトーリック眼内レンズは保険適用で、通常の単焦点レンズと同じ費用で選べる施設が多いです。多焦点トーリックは選定療養または自由診療になります。

Q. 乱視が弱くてもトーリックレンズは必要ですか?

角膜乱視が概ね1D(ジオプター)未満であれば通常の眼内レンズで十分なことが多く、1D以上あればトーリックレンズの効果が期待できます。適応は術前検査の測定値で判断します。

Q. トーリックレンズを入れれば眼鏡は不要になりますか?

乱視の矯正はできますが、単焦点トーリックの場合はピントが合う距離が1か所なので、合わせなかった距離には眼鏡が必要です。眼鏡の乱視度数は不要または軽くなります。

本記事は、東京都内で白内障手術を執刀する眼科専門医が内容を確認しています。記載している費用は2026年時点の診療報酬・一般的な相場にもとづく目安で、施設や条件により異なります。個別の治療方針は必ず担当医にご相談ください。