単焦点と多焦点眼内レンズ、どちらを選ぶ?違いと向いている人
この記事の要点
- 単焦点は保険適用で見え方の質が高い。眼鏡を使う前提なら満足度が高い選択。
- 多焦点は眼鏡への依存を減らせるが、夜間の光のにじみ・コントラスト低下が出ることがあり、追加費用(片眼20〜35万円〜)がかかる。
- 網膜や視神経の病気がある方、夜間運転が多い方、見え方に神経質な方は単焦点が無難。最終判断は術前検査の結果と生活スタイルから担当医と。
眼内レンズの3系統
| 単焦点 | 多焦点 | トーリック(乱視矯正) | |
|---|---|---|---|
| ピントの合う距離 | 1か所(遠く/中間/近くのいずれか) | 2〜3か所、または連続的(EDOF) | 単焦点・多焦点それぞれにトーリック型がある |
| 見え方の質 | 高い(コントラスト良好) | やや低下。ハロー・グレアあり | ベースのレンズに準じる |
| 眼鏡 | 合わせなかった距離で必要 | 依存を大幅に減らせる | 乱視分の眼鏡が不要になる |
| 費用 | 保険適用 | 選定療養(追加20〜35万円〜)または自由診療 | 単焦点トーリックは保険適用 |
単焦点眼内レンズ:見え方の質を優先する選択
単焦点レンズは1つの距離にピントを合わせるレンズで、白内障手術で最も多く使われています。光を分割しないため見え方のコントラストが高く、夜間の光のにじみもほとんどありません。保険適用で追加費用もかかりません。デメリットは、合わせた距離以外では眼鏡が必要になることです。「遠くに合わせて老眼鏡を使う」「近くに合わせて遠く用の眼鏡を使う」のどちらにするかは、生活スタイルで決めます。
片眼を遠く、もう片眼をやや近くに合わせて両眼で幅広くカバーする「モノビジョン」という方法もあり、うまく適応できれば眼鏡の使用頻度を減らせます。
多焦点眼内レンズ:眼鏡への依存を減らす選択
多焦点レンズは、光を複数の焦点に分配することで、遠くと近く(3焦点なら中間も)にピントが合うレンズです。2焦点、3焦点、焦点深度を伸ばして連続的に見えるようにしたEDOF(焦点深度拡張型)などがあります。日常生活の大半を眼鏡なしで過ごせる方が多く、アクティブな生活を送る方に人気があります。
一方で、光を分けるぶんコントラストがやや下がり、夜間に光の周りに輪や放射状のにじみ(ハロー・グレア)が見えることがあります。多くの方は数か月で気にならなくなりますが、一部の方は違和感が続きます。また、費用は選定療養で片眼おおよそ20〜35万円の追加、自由診療なら30〜80万円程度かかります。
多焦点が向いている人・向かない人
| 向いている | 慎重に検討すべき |
|---|---|
| 眼鏡をできるだけ使いたくない/スポーツや旅行など活動的な生活/目に白内障以外の病気がない/多少の見え方の変化を許容できる | 加齢黄斑変性・緑内障・糖尿病網膜症などがある/夜間の運転が多い(タクシー・トラック運転手など)/強い乱視や角膜の病気がある/見え方に神経質、繊細な色や形を扱う職業(デザイナー、精密作業など) |
網膜や視神経に病気がある方は、多焦点によるコントラスト低下がかえって見え方を悪化させることがあり、一般に単焦点が勧められます。適応の判断は術前検査の結果によりますので、希望があれば早めに担当医に伝えてください。
トーリック眼内レンズ:乱視のある方へ
角膜の乱視が一定以上ある方は、乱視を矯正する機能がついたトーリックレンズで術後の裸眼視力を改善できます。単焦点トーリックは保険適用で追加費用なしに選べる施設が多く、多焦点にもトーリック型があります。詳しくは乱視がある人の白内障手術をご覧ください。
レンズ選びの進め方
- 自分の生活で「眼鏡なしで見たい距離」を書き出す(運転、テレビ、パソコン、スマホ、読書、料理など)
- 術前検査で目の状態(網膜・視神経・角膜・乱視)を確認してもらう
- 単焦点・多焦点それぞれの利点と欠点を担当医から聞き、費用も含めて決める
多焦点を強く勧めるだけで単焦点の利点を説明しない施設、逆に多焦点の選択肢を一切示さない施設は、いずれも情報が偏っている可能性があります。両方を公平に説明してくれる施設を選びましょう。東京都内で多焦点レンズ(選定療養)に対応する施設は姉妹サイト多焦点眼内レンズガイドで確認できます。
この記事に関するよくある質問
Q. 多焦点眼内レンズにすれば眼鏡は完全に不要になりますか?
多くの方が日常生活の大半で眼鏡なしで過ごせますが、細かい文字や暗い場所での読書、長時間のパソコン作業などで補助的に眼鏡を使う方もいます。「完全に不要」を保証するものではありません。
Q. 多焦点眼内レンズのデメリットは何ですか?
夜間に光の周りに輪や放射状のにじみが見えるハロー・グレア、コントラスト感度の低下、追加費用です。多くは数か月で慣れますが、一部の方は気になり続けることがあります。
Q. 単焦点レンズはどの距離に合わせるのがよいですか?
運転や外出が多い方は遠く、読書や手芸が中心の方は近く〜中間に合わせるのが一般的です。片眼を遠く、片眼をやや近くに合わせる「モノビジョン」という方法もあります。